平成19年度 狩猟日記 その2
−大分県は本年より全域でメスジカ可猟・頭数無制限です-



出猟日 12月1日 (日曜日)
時 間 09:30〜16:00
場 所 祖母・傾山系
猟法 グループ猟
天 候 晴れ
使用銃 Remington M870
銃身 26in・平筒
使用弾数 なし 
猟 果

イノシシ 2頭
(グループでの猟果)
07時自宅を出発。すぐにM師匠とNさんの無線が入る。いつもとは別のルートで行くようだ。途中のコンビニで二人に合流。コーヒーを貰って出発。猟場エリアに入ると、Nさんに付いて足見を行う。いろいろと見て回り、勢子長のお宅でいったん集合。皆はポイントDの広場にいるとの事なのでそっちの方に移動する。

広場は日当たりは良いが、冷たい強風が吹いている。ジャンバーを着込んで震えながら作戦会議。上の方に新しい足跡があるそうなのでそこを攻めることになった。

私は通称「鉄塔」の近くに配置。隣をM師匠、GTさんと3人で防衛ラインを引く。各員の配置が完了し犬と勢子さんが攻め上がる。少しして鳴き出てこちらに上がってきた。犬の声が近づき緊張していると、100m以上下にある田んぼにシシが上がってきた!立ち止まったが、あまりにも遠くて照星で隠れてしまう。サボットなら撃てるがただのノーマルのスラグ弾なので無理だ。近くに寄せて撃とうと挙銃したまま待つが左の方に行き見えなくなった。直後、銃声が3発。M師匠が発砲したが外れたor致命傷にならなかったようで、獲物は再び下っていく。だが犬に追われてまたまたM師匠の前に舞い戻ってきた。直ぐに銃声が3発響き無事止めたとの連絡が入る。

勢子さんが獲物が居ないか散策するが反応なし。午前の部はここで終了することになった。M師匠のところに行き獲物を積んでポイントDへ移動。お弁当を食べながら次の場所を検討する。いつもはDの正面の山を攻めるが、今日は裏側をやってみることになった。私はいつもの待ちへと移動。獲物が出てくるのはいつもと反対方向になるので、立ち位置をずらして準備OK。

少しして犬が放たれた。食後の飴玉を舐めていると獲物が起きたとの連絡が入る。勢子長に40kg位のシシが向かって突っ込んできたらしい。脇に避けてやり過ごしたそうだが・・・ さらにこちらに向かっているとの事。射撃ポイントを確認し薬室を閉鎖して準備OK。犬の声と鈴の音が聞こえてきたがすぐに聞こえなくなった。勢子さんから離れているので現在地は不明との事。風が強く足跡が聞こえる状況ではないが、耳と目の感度を上げて動きを見守る。少ししてポイントDの上に居たM師匠がまたまた3発連射!無事止めたらしい。犬が散って状況が分からないので各自注意せよと通達がある。マーカー(発信器)を頼りに犬を探すが一頭不明で各待ちで電波を拾う。私の場所では車載無線でようやく取れるほど微弱だが、この近所にいるようだ。車で移動しながら探していたGさんが鈴が聞こえる所まで来たとのことで私も加勢しに移動する。犬は今日から投入された若犬で、谷に降りているが疲れて足腰立たないようだ。私も谷に降りて捕まえようとするが、牙を剥いて噛みつこうとする!(怖) 呼んでも来ないし、噛まれるので首輪も掴めない・・・ 仕方ないのでベストからパンを取り出して餌で釣ってみる。これが上手くいき無事確保!軽トラに乗せてポイントDへ移動。皆も集合し解体を始めるが、勢子長とNさんが居ない。なにやら罠にシシが入っているそうで捕獲しに行ったのだ。

箱罠で捕獲されたメス二頭

持ってきたのは40kg位のメスが二頭。一つの箱に仲良く入っていたそうだ。これらも無事解体して終了。解散となった。

私は一度下界に降り、Hさんを連れて勢子長宅に上がった。今夜も泊めて貰うのだ。夕食の鹿のシグレ煮とシシの甘辛煮、ヤマドリの炊き込みご飯&吸物が強烈に旨かった〜 (いつも写真を忘れる・・・)



出猟日 12月2日 (日曜日)
時 間 9:30〜17:00
場 所 祖母・傾山系
猟法 グループ猟
天 候 晴れ
使用銃 Remington M870
銃身 26in・平筒
使用弾数 なし 
猟 果


 イノシシ 2頭
 シカ 2頭
  (グループでの猟果)
4:30起床。シシの枝肉を一頭分吊していたので、7時位より解体。終わる頃には無線が賑やかになってきた。我々も勢子長の奥様よりお弁当を配給して貰い装備を固めて出発!昨日集まった広場に向かう。広場に着くとGさんに連れられて足見を行う。各渡りや待ちのポイント、跡の見方など色々教えて貰った(嬉) その結果、親と子二頭が小学校の上方面へ入っていると推測。移動して各員待ちに着く。私は一番下の小学校寄りのカーブに配置。杉林で透けており、登ってくる獲物は確実に止められそうな絶好のポイントだ。配置が完了すると下から勢子さん達が犬を入れる。

少しして直ぐに反応あり、獲物を追い出したようだ。あちこちへ追っているようだが待ちにかからない。少ししてウサギを追っていると無線が入った。私的にはウサギも食べてみたいのだが・・・ それからちょっとして再び吠えだしたようだ。今度は勢子さんが姿を見ているので間違いない。どんどん追い立てて小学校側に向かっていると連絡があり緊張する。だが、一向に網に掛からない。犬も追跡をやめているのがいる。追ってない奴は回収を進めると。全部捕まった。獲物は獣道以外から抜けてしまったようだ。残念!

時間は11時少し過ぎたところ。いったん上に上がり昼食をとることになった。軽トラ軍団がズラズラーっと列を成しながら大移動。妙な光景である。公民館の広場を借りて各自昼食をとる。インスタントラーメン希望の人達がいるので、メスティンとバーナーでお湯を沸かして配給する。のんびりぽかぽかとランチタイムを楽しんでいると地区の人が通りかかった。昨夜、イノシシが浄水場からの水道ホースのジョイントを壊してしまったので今から修理に行くところだという。この下に居るみたいだから獲って欲しいとの要請。どうやらシシが餌(ミミズなど昆虫)を掘り返す際、ホースも動かし壊したようだ。昼まで用事があった勢子長も合流し、この辺一体を囲んでやってみることになった。

私と数名はM師匠の荷台に乗って林道を進む。途中で下ろしてもらい、通称名「殿様」の待ちに入る。ここは谷底になるのでしばらく歩く必要がありハードだ。いつもは降りたところの切り株に付くのだが、Gさんの待ちである「河原」を譲ってくれた。ここはM師匠の上の待ちになり超一級ポイントだ!ありがたい!滝を高巻きして無事に河原着。装填して勢子さんに殿様配置完了を打電。ジッと石に化け獲物を待つ。

絶壁に囲まれた河原

全員の配置完了を確認し勢子さんと犬が突入。いくつかのポイントを回りシシが起きた。さらにいくつか獲物が飛び出し犬達はバラバラに追いかける。少しして一頭転けたと連絡。シカらしい。イノシシはまだ居る。注意深くあたりを警戒する。

最初は日が照って暖かかったこの場所であるが、だんだん陰ってきた。河原の吹きっ晒しなのでとても寒い。銃を片手に音を立てないよう注意しながら薪を集める。へし折ると音がするので剣鉈で削りながら適当な大きさに切断。ライターに巻いているガムテープを着火剤にして小さなたき火を起こす。

焚き火で暖まる

その間も目だけはキョロキョロと警戒を怠らない。広いのでなかなか待ちに掛からないようだ。だが焚き火があるので何時間でもここで待機することができる。そういえば車の中に干し芋があった。おやつに持ってくればよかった。無線ではさらに一頭追加と連絡。イノシシらしいが銃声は聞こえなかった。

暖をとってのんびりしていると、いきなり近くで落雷したときのような轟音が響いた。驚いて挙銃するとさらに2回音が響く。300mほど下流のM師匠がライフルをぶっ放したようだ。周囲を崖で囲まれているので音が響いたのだろう。シカを倒したそうだ。そろそろ16時になるので獲物を回収との通達。河原をそのまま下り、M師匠と合流。二人でエンヤコラと担ぎ上げるが、急な登り&足場が崩れるのに難航し、ゼーゼー言いながら何とか上まであげた。登りついた頃にGさん達と合流。軽トラに乗って戻る。痛み止めをガバガバ飲んでいたので首や腰は今のところ大丈夫ww

少し進んだところで犬が谷にいると勢子長から無線。笹藪で見えないがマーカーが振り切れで入るのでGさんが谷に突入。私も離れたところからKさんと突入。笹藪を掻き分けて進み何とか犬を親方の所に戻す。無線では、またシシを追い出した様でひっきりなしに交信がある。我々はそのまま勢子長宅へと移動した。

獲物を解体場へ運びシカからバラす。ちょっとして皆戻ってきた。小さいシシを引きずっているが、そいつと目が合った。むしろキョロキョロして口がパクパクしている!? 軽く頭を蹴飛ばすと噛みつこうとするではないか!生きてるよこいつ・・・ シメて運んできてよ(;´Д`)  どうやら、この前私が倒したシカのように脊椎を上手いこと破壊され動かないようだ。M師匠が素早く口を踏みつけ一気に止めを刺した。動画で撮りたかったが、何せ解体の補助中で両手が放せなかったのである残念。そんなこんなでシカもシシもお肉になり分配も完了して解散となった。

本当に毎回驚くことや新しい発見の連続である。来週もがんばろー



出猟日 12月19日 (水曜日)
時 間 8:30〜16:00
場 所 県南
猟 法 単独流し猟
天 候 晴れ
使用銃 Remington M870(1.5-6倍スコープ)
銃 身 20in・1/2ライフル
使用実包 LIGHTFIELD Hybred EXP Sabot Slug 3発 
猟 果
メス鹿 1頭

年明けまで単独猟は出ないつもりであったが、肉が欲しいというリクエストが数件あるので予定変更である。グループ猟はすごい不調で2週続けて犬の被害が出ている。先々週は勢子長の犬が亡くなりとても悲しい思いをした。流れを変えるためにもがんばろうと思う。

いつもより遅い時間に出発したので朝のラッシュに巻き込まれてしまった。この前見つけた裏道を通って猟場着。日の出は一時間以上前に過ぎているが焦っても仕方ない。ゆっくりと林道を流す。未舗装路になって少し行ったところで路肩からシカが飛び出し杉林に入っていった。直ぐに車を止め、銃を引っぱり出し杉林に突入!銃袋を引き剥がし装填しながら獲物を確認すると50mほど先からジッ見ている。まさかここで獲物が出てくるとは思っていなかったので、心の準備ができておらず、心臓がバクバクいっている。獲物の上半身しか見えず、正面を向いている感じだ。首の根本に狙いを付けて発砲!獲物は走り出した。走った方向は下草がなく透けて見える。杉の間隔が開いている所で発砲。だがそのまま元気に走っていった・・・ また照準がずれているのか_| ̄|○ ひょっとして当たっているかもと淡い期待を持って獲物が居た地点に来たが血を引いている様子はない。完全に外れたね。ガサゴソ歩いていると、直ぐ近くの少し高いところから警戒鳴きが聞こえた。2発撃ったのにそんなところにいたのね・・・ 雑木が濃く発砲はできない。泣く泣く見送る_| ̄|○

落ち込みながら車に戻り先に進む。左側に違和感を感じて良く見ると、シカがボンヤリ立っているではないか!静かにエンジンを切って身をかがめながら林道から外れる。雑木の下に身を隠し、銃袋を剥ぎ取り装填しても微動だにせずこちらを見ている。体を横に向け急所を大きく晒した理想的な形で居る。あまりにもすばらしいので、デコイ(作り物の囮)の可能性を考えスコープで確認する。耳が動いた・・・ 本物だww 確実に当てる為、木に委託して安全を解除し胴体前方のバイタルエリア中央を狙って発砲!だが、すごい勢いで走っていった_| ̄|○ 一発しか装填していないので追い矢は撃てない。しかも死角にもう一頭居たようで警戒鳴きを発しながら2頭とも奥へと消えた。照準が狂っているようだ。射撃場でサイト合わせ確定だな・・・

 ガックリとしながらシカが居た地点に行ってみると、血がベットリと落ちている!当たっていたようだ(喜) 尚かつ凄い量の血痕が赤いラインになって奥へと続いている。これは失血死確定だ!念のため再装填して血痕の後を追う。

赤いラインが途切れず続く

100mほど行くと、結構大きなメスジカが前のめりに倒れていた。

シカ発見!

スコープで見たときはもう少し小さい印象であったが?弾は心臓にドンピシャ当たっているようだ。最高の場所に当たっている。だが、反対側からきれいに抜けているので即倒しなかったようだ。一応、剣ナタを心臓に刺してみたが血は出ない。

鮮血に染まっている

後ろ足を高くしてみると被弾部から血が流れるので、そのまま放血させ一旦車に引き返し、車からロープやゴム手袋などの牽引装備を取り現場に引き返す。首にワイヤーロープを通してエンヤコラと引っ張るが、上り坂&獲物が大きめなので動かない。事故で負傷している体であるが、リミッター解除で思い切り引っ張ると動き出した。そのまま気合いで何とか登り、平坦な獣道を進む。途中で何度腹抜きして軽量化しようと思ったことか・・・ 

フーフー言いながら車の近くまで運んできた。手頃な木があるので久々に使う米国から輸入した滑車(Locking Hoist)をセットする。後ろ足をGambrelで吊すのだが、今回は首に巻いたワイヤーロープに引っかけて吊す。このホイストは一見チャチだが、実によく考えられている。獲物を吊して引くと自動でロックが掛かり、ずり落ちないが横方向に少し引けばロックが外れ降ろすことができる。重いシカでも簡単に吊ることができる。$20位だがとても満足している。

吊り下げ完了&記念撮影

着弾部位を観察すると、綺麗に心臓のある位置に射入して斜めに抜けている。そして前足の骨は損傷していない。間違いなく今年のベストショットだ!射出部は射入部と同じ大きさであることから弾頭は変形せずに抜けたようだ。これが変形して体内に残れば即倒であるが、堅い組織が無い為だろうか?

射入部(左前足根元) 射出部(右前足後部)

ナイフで皮に切れ目を入れガットフックで一気に腰まで毛皮を切る。首と腰の皮の厚い部分はナイフで切る。そして首の周りをぐるりと切り剥皮を行う。上から剥がしていけば毛皮が反転して肉に毛が付かない。北海道庁が作成した「エゾジカ衛生処理マニュアル」が役に立つ。足を関節で落とし、肛門周囲だけ残してきれいに剥げた。肛門付近を切るとフンが出て肉が汚染されるので注意である。斜面なので腰を曲げる必要もなく、無理のない姿勢で作業することができる。今までで一番楽だww

毛皮を反転させながら汚染防止

シートを広げビニールを敷き外した肉を置いていく。さらに上からビニールをかけ、乾燥とハエを防ぐ。気温は5度くらいなので冷却もバッチリである。

寒いのにハエが一匹飛んできた

改めて観察すると被弾部は可食部を損傷していない。前足を破損していると思ったが全く影響はなかった。四肢と背ロースは完璧な形で取ることができた。だが胃を破壊しているので、内容物が流出している。腹腔内を観察すると、弾頭は肺、胃、心臓と肝臓の一部を破壊して抜けている。心臓と大血管に当たっているので鮮血を大量に吹き出した様である。

大出血の原因心臓上部と血管を損傷。(胃の内容物が付着している)

だが、これだけ致命傷を受けていても山中を100m走るシカには驚くばかりである。外したと思い走られても現場に行き確認する重要性を痛感した。現場を確認しなかったらこのシカはただ殺されただけになったであろう・・・ クーラーボックスに肉を詰め、穴を掘って残滓を処理し山に一礼して車に戻る。もう肉は十分で獲る必要はないが、他にも見ておきたい場所があるので移動する。

適当な広場があったのでカップラーメンで昼食をとってブラブラ見て回り、日が暮れてきたので本日は終了。新年会用にお肉が要るので獲れてよかった。しかも理想的な射撃を行うことができたので満足感は倍増である。獲物を恵んでくれた山の神様に感謝!

・・・それはそうとスコープはズレてなかったみたい。最初に外したのは腕が悪いのね_| ̄|○