ナイフシース(鞘)の作成

− ラブレスポーチタイプ? −



設計図作成

ナイフ・メイキング読本だけでは一種類しか紹介していないので、革工房やまうちさんのサイトをお手本に設計図を作らせてもらった。幾つかラフスケッチを作り、切り出してナイフとベルトに合わせて大きさの修正を数回行った。

現物合わせ

写真のようにナイフが収まるわけである。ピンク色の線が折り曲げるために必要な溝を掘る部分。オレンジ色がスペーサー(中子)である。

シース用革

このナイフのためにチョイスしたのは2.5mm厚のサドルレザーである。
革の調達はレザークラフト・ドット・ジェーピーで購入。革以外の必要な道具も一緒に購入した。

けがく

設計図から切り出し、革が無駄にならないように上手いこと配置して、革の"裏側"をボールペンで縁をなぞる。

切断道具達

黄色いオルファのカッターよりも、通常の大型カッターの方が小回りが利き使いやすい。

裁断完了!

絶対に線の内側に切れ込みを入れないように、慎重にゆっくりと裁断。何とか無事切り終えた。

転写

革の上に型紙を乗せ、ヘラで線を押しつけるようになぞる。型紙を外すとスジが付いているのでボールペンでなぞる。

曲がる部分を掘る

分厚い革は折り目を付けるように溝を付けないと、小さなRで曲げることができない。半円彫刻刀で革の厚みの半分より少し多いくらい彫り込む。

ベルトルーフの接着準備

表の銀面はツルツルして接着剤が上手くひっつかない。接着する面は彫刻刀で削り、地を出して荒らしておく。

接着

接着剤はゴム・革用の弾性接着剤G17をチョイス。説明書に従い両面に塗布後、5分ほど乾燥させる。

接着完了

5分のベンチタイム終了後、張り合わせた後に素早く木槌で叩く。叩くことでより強力に接着できるそうだ。叩きつけたら完全に接着されるので直ぐに次の工程に移れる。

糸穴作成

ボール盤に菱針(専用の針)を取り付け、革の下に当て木をして3mm間隔位で穴を空ける。ボール盤を使用するのは垂直な穴を空けるため&軽い力で作業するためである。

※事故防止のためボール盤のコンセントは抜いておいた方が賢明!

裏側を漉く

裏側を見ると糸穴が解るので、その部分を彫刻刀で彫り込む。これはナイフを入れた際に糸が擦り切れてしまわないように一段下げる為である。

裁縫道具達

白いサイコロ状の物が蜜蝋。右側の糸は麻の糸。針は注文する際間違えたため、丁度良い物を100円ショップで購入。通常の針と違い、非常に太くて先端が尖っていない。革専用の針であるような気がするのだが、何でこんな物が売ってたのだろう??

ロウを塗りつける

糸に防水性、耐久性を与える為に全体に塗りつける。上手くロウが付けば毛羽が無くなり、テカリが出るので直ぐに解る。

交互に縫い込み

糸の長さは縫う長さの約8倍を用意すれば良い。糸の両端に針を結びつけ、靴紐を通す間隔で八の字に縫っていく。表から通したら、反対側の針を同じ穴の裏側から通すと言った感じだ。始めと終わりは返し縫いにしてしっかりと縫い付ける。特にこのベルト部分は一番力がかかるので丈夫に仕上げる。

ベルトルーフ完成

一穴縫うたびに糸を掴んで締め付け、ガッチリと縫い上げた。終端は内側に出して結んで終了。糸を切ったら木槌で叩いて穴を引き締めて作業完了!

中子用の革

スペーサーに使うのは5mm厚のサドルレザー。型紙から転写し裁断。

中子の接着

銀面をカッターで削り取り、片面を接着する。しっかりと着いたら、革を折り返して同じように接着。これで大まかな形はできた。

菱目打ち

ノギスでラインを引き、デバイダーで等間隔に印を付け、それに従い菱針で穴を空けていく。(一個ズレているのは見なかった方向で・・・)

菱目打ち完了

ココまで来れば後は楽勝。

縫い込み

すでに穴が開いているので力はまったく必要ない。注意するのは一穴縫う毎にしっかりと締め付けることだけ。

9割方完成

縫ったり貼ったりする工程は終了。残りは形を整える仕上げだけである。

水に漬け込む

水の中に数分間ザブンと漬け込む。しっかりと水を吸わせて革を柔らかくする。

フニャフニャ

水から上げたシースはかなり柔らかく、型くずれしやすいので慎重に扱う。

型合わせ

ナイフを挿入し、ハンドルの形をなぞる。型が付いたら静かにナイフを抜き、ハンドル部分を少し潰して狭くする。そしてこのまま放置。

乾燥・整形

半乾きの頃にコバ(裁断面)をカッターで成形し、表面のなめらかな物で擦り上げツルツルにする。木槌のグリップが丁度良かったので、それで擦り上げた。で、成形が終わるとさらに放置して完全に乾燥させる。

軽くオイル塗布

完全に乾いたら革はカチコチに硬くなる。表面に極薄くミンクオイルを塗布してウエスで拭き取る。オイルが浸透すると、せっかく硬くした革がまた柔らかくなるので注意が必要。

完成!!

差し込んでいるだけと言う構造で不安だったが、逆さまにしても振り回しても抜けることはなく、しっかりとナイフはホールドされている。抜き差しもスムーズにできて良い感じである。これで無事、猟場に持ち出すことができる形となった。

このナイフ&シースは猟友へのプレゼントのために作成した。気に入って貰えれば幸いである。

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