平成18年度 狩猟日記 その2
− 大分県内での狩猟報告 -



出猟日 12月17日 (日曜日)
時 間 09:00〜15:30
場 所 宮崎との県境付近 (メス鹿可猟区域)
猟法 巻き狩り
天 候 曇りのち雪
使用銃 Remington M870 (チューブレス・ドットサイト)
銃身 20in・1/2ライフル
使用弾数 FEDERALサボットスラグ 5発 
猟 果
オス鹿 2頭
メス鹿 3頭(一頭写らず)
 朝は各自バラバラに足跡を探して見て回り、ポイントD上の広場に集合。本日はいつもより標高が高い地点を攻めるそうだ。大きく移動して勢子長の家に集合し作戦会議を行う。ジープでは進入できない所らしいので、現場近くまでKさんのジムニーに乗せてもらう。駐車ポイントから四方に分かれそれぞれの待ちにつく。私は駐車ポイントすぐ上の獣道横に配備される予定であったが、尾根沿いに進み通称「トンネル」の近くに配備された。痩せ尾根で上に立つと左右の両傾斜がよく見渡せる。また、太い獣道も尾根沿いに走っており、一級ポイントのようである。皆が待ちについたのを確認し、犬を放す連絡が中継されてきた。ここは二番目に高く遠い待ちなので麓の無線が届かないのである。

 3時間経過。無線は途切れ途切れに入り、シカが何頭か獲れている様子だ。尾根の上なので風がまともに当たり非常に寒い。追い打ちをかけるように先ほどから雪までちらつきだした。地下足袋なので指がちぎれそうなほど痛い。我慢できないので尾根の上から降りて風裏に陣取った。手ごろな枝を集めて小さな焚火を起こす。太い枝は鉛筆を削る要領で短くした。音を立てるのは厳禁だからだ。足先を暖めると氷が解けていくように感覚が戻ってきた。そのまま焚火を絶やさぬようにナタで薪を作りながら静かに周囲を警戒する。しばらく経つと、「パキッ」と枝を踏み折る音が尾根の反対側から聞こえた。首を伸ばして覗き込むとメス鹿が二頭居るではないか!距離は約15mでゆっくりゆっくりとこちら側に進んでいる。ビックリである!気づかれないように足元に置いていた鉄砲を取り、大きな方の心臓付近にドットサイトの赤い点を重ねる。距離10mを切った所で発砲!!崩れこんでジタバタしているが逃走の恐れはないと判断。もう一頭は脱兎のごとく逃げ出した。杉の木が邪魔して撃ちにくいが、一発撃ち込んで外れ。さらに撃とうとするが逃げられてしまった。残念であるが逃走方向には待ちが張ってある。無線で1頭捕獲し1逃走した旨と獲物の進路を報告する。倒れた鹿はまだ動いているので剣ナタで心臓を刺して頭を低くして放血する。
今年2頭目の鹿さん捕獲!


 この前捕獲した鹿よりもずいぶんと大きい。倍以上は確実にある。特に体の厚みがぜんぜん違う。焚火をしていると獲物が寄って来ないというのは関係ないとグループでは言うが、そのとおりであると感じた。火よりもジッと動かないことのほうが大切っぽい。

放血は完璧!

 お昼を過ぎてご飯休憩に入るとのことであったが、私ともう一人のGさんは山を降りるのに時間がかかるので現場待機となった(泣) 捕獲した鹿は林道まで出しておけとの事であるが、獲物は尾根の反対側にある。ロープをかけて動かそうとするが重くてなかなか動かない。無線で救援を要請したが自力でガンバレとの事である・・・ 汗だくになりながらやっとの思いで尾根の上まで担ぎ上げた。急傾斜で獲物が大きいので一苦労である。地図を見るとまっすぐ下れば林道に出られそうなので、獲物と共に転げ落ちるように一気に100m近い標高を下ってボロボロになりながら林道着。後は軽トラ輸送班に任せて山を上る。一番奥のトンネル上に居るGさんはお弁当が車の中ということなので寄り道して車からお弁当を取って届けに行く。私のお弁当は麓のジープの中であるので諦めて携帯している船舶用の非常食をかじって我慢。一時間ほど休憩したら午後の部の開始である。休憩中に太い枝を集めてきたので剣ナタでカリカリ削りながら警戒する。遠くで何回か銃声が聞こえたが、無線はほとんど入ってこない。

 背後から枝をかき分ける音が聞こえてきた。降り返って目を凝らすと大きな三段角のオス鹿である!他にもワラワラとオスメスが出てくるではないか!合計5頭ほど見える。興奮して心臓がバクバク言っているが、まだ距離が遠い。気づいている様子はないのでチャンスが来るまで十分にひきつける事にする。挙銃したままジッと動かずにやつらの様子を伺う。今までのんびりと尾根沿いに進んできたのが進路を変え尾根を越える動きを取った。気づかれたか?尾根を越えられるとこの位置からは撃てなくなる。かといって移動するわけにも行かず、発砲を決めた。距離は約60m、先頭に居るデカイ雄を狙って動きが止まるのを待つ。だが思い通りにはいかず、茂みの中に進んでいこうとしている。一か八かで発砲!さらに後方に居たオスとメスに発砲!獲物は倒れている様子はない。再装填し警戒しながら現場の確認に向かう。先頭のオスが居た場所には獲物は不在で血痕もない。他の分も見たが血を引いている様子はない・・・ 3発丸々外してしまった(泣 

 15時を過ぎ、終了の連絡が入ってきた。師匠の軽トラに乗せてもらい山を下る。勢子長の解体場でバラしてみると私が撃った弾は脊椎を破壊して前足付近で止まっていた。撃ち下ろす感じだったので心臓は当たらなかったようだ。本日は鹿2頭目が捕獲できたのでよかった。これで今期中にイノシシが獲れれば万々歳である。


出猟日 2月4日 (日曜日)
時 間 09:00〜16:30
場 所 宮崎との県境付近 (メス鹿可猟区域)
猟法 巻き狩り
天 候 晴れ
使用銃 Remington M870
銃身 26in平筒
使用弾数 FEDERALスラグ 2発
猟 果
イノシシ メス 70kg 1頭
記念すべき初捕獲のイノシシ! 
 いつも攻めているところよりも大きく西に移動した所にやってきた。この辺は初めてで、持参している地図は端で少し切れている。全くの想定外の場所である。私の配置はトンネルの出口方向麓での待ちの予定であったが、犬をかける前に変更になり、一気に山を上り激しく水が流れる用水路沿いに進んだ先になった。ここはカボス畑があり、今日は枝払いの作業しているようでバサバサと音が聞こえる。作業している人にこの下でシシ猟をさせて貰う旨を伝えて待ちに入る。地図で確認するとここの足元をトンネルが通っているようだ。

 受け持ちの範囲は尾根沿いのカボス畑から下に下って竹林の中までと結構な広範囲で一人で守るにはキツイ。取りあえず中間地点に陣取り、音を聞いて移動することにする。全員の配置が完了したので犬を放す連絡が入った。私の待ちは最終防衛ラインだそうで絶対に獲物&犬を抜けさせてはダメだそうだ。責任重大である。犬を放してすぐに獲物を捕捉したようで激しく吠えているとの無線連絡が入る。銃声が2発聞こえ、トンネルの方向に逃走していると連絡があり緊張して警戒する。遠くから犬の鳴き声と鈴の音が聞こえてきた。だがそれ以上近づいてくることなく離れていった。

 2時間ほど経ったが無線が途切れ途切れで聞き取れず、現在の状況はわからない。おまけに日陰で寒くなってきたので日向のカボス畑下に移動することにした。もし竹林の中を獲物がくれば音がしてわかるだろうし、全速で走れば間に合うと判断したからである。

 日向に来ると生き返った(笑) 今日は暖かかったので防寒衣を車の中に置いてきたのであるが、北側の日陰は予想以上に寒かった。杉の根元に腰かけてのんびりしていると、右手方向からガサゴソと音が聞こえてきた。音源を確認すると大きな黒い物体(イノシシ!)が小走りに15m位前を横切る形で進んでいる。とっさに銃を構えて照星で動きを追う。そして開けた所に出た瞬間発砲!そのままの勢いで笹の中に前のめりに崩れこんだ。素早く再装填し動きを見る。ゴソゴソと動いたので笹で見えないが頭付近に止めを発砲!急いで無線でシノシシを止めた旨を送信し、挙銃したまま獲物に近寄る。止は頭ではなく右前足を吹き飛ばしていたが、逃げられそうにないので剣ナタで止めを刺す。銃声と無線報告を聞いて近くで待ちを張っていた人が加勢にきた。完全に止まっているのを確認して握手を交わす。
止めを刺し動かなくなった猪

ここでようやく興奮と言うかイノシシを撃ったと言う実感が沸いてきた。獲物を見た瞬間も発砲する時も不思議と平常心で、すごく落ち着いて撃つことができた。この前のシシとの出合いと随分大きな差だww 

 いきなり犬が背後に現れてビックリした。かなりの距離をあけられて鳴かずにイノシシを追っていたようだ。2口ほど獲物を噛ませて紐でつないでおく。5頭ほど出てきたので手持ちのリードでは足りずにロープの両端に無理やり繋いで杉の木に縛りつけた。後で回収に来るそうなのでそのままにしておけとの連絡がある。

この中を右から左へ走った

 もう一頭居るそうなので残りの犬で捜索して見たが発見できず、本日は終了となった。三人がかりでイノシシを引きづり下ろして軽トラに乗せる。もう一度山を上って怖い水路沿いに進み車を拾ってポイントDに集合する。

急所に一発

 ポイントDでは皆が祝福してくれた。記念撮影までしてもらってとても嬉しい。獲物を解体すると初矢は左肩上に着弾、脊椎を完全に粉砕しており動くことができなかったようで、止めを撃つ必要はなかったようだ。(右足を吹き飛ばしただけだし・・・)

記念撮影


 本日は念願のイノシシを撃つことができた。これも汗だくになり犬と共に獲物を探した勢子さんや、良い場所に配置させてくれたり、立ち位置や狙い方やを教えてくれたグループの皆のおかげである。心から感謝である。おまけに取れた獲物はとても良く肥えていて今年一番の立派な脂肪につつまれた固体であった。とても勉強になり充実した一日であった。